2013年

4月

04日

熊本一規さん「埋立には漁民全員の同意が必要」

上関原発建設に伴う漁業補償金問題が祝島で再び持ち上がったことを受けて、漁業法に詳しい熊本一規さん(明治学院大学教授)の講演・勉強会が山口県(329日祝島、30日徳山)で行われました。

これまで約30年間、祝島の漁民は中国電力からの漁業補償金の受け取りを拒否してきました(総会で受け取り拒否を多数で決めてきました)。

 

これまでの経緯を簡単に書きます。2000年に、関係8漁協でつくる共同漁業権管理委員会は祝島漁協の反対を押し切って、中国電力と125億円の漁業補償契約を結びました。後に、祝島漁協を除く7漁協の漁民は補償金を受け取ることになりました。

 

祝島漁協が山口県漁協に合併した2006年以降、県漁協は祝島支店の代わりとして祝島分の漁業補償金を勝手に受け取りました。その後、県漁協は祝島支店に補償金を受け取るよう何度も働きかけていますが、その度に、祝島の多くの漁民は拒否してきました(2009年2月:反対35人、賛成33人、2010年1月:反対43人、賛成・保留15人、2012年2月:反対40人、賛成17人、この時は補償金については今後一切議案にしないということが決められました。*人数はいずれも正組合員の数です)。

 

しかし、去る2月28日、祝島で再び開かれた会合で、賛成31人、反対21人となりました。この度は県漁協の主導で行われ、祝島の漁民からの「祝島支店の決議を無視している」という抗議を押し切って開かれた結果でした。詳しくは「祝島島民の会blog」「祝島漁民からの報告」をご覧ください。このことは、祝島(島民約450人)の中でも寝耳に水だったという人も多かったようです(祝島ホームページ)。

 

その後、3月22日、祝島の32人の漁民(正組合員)は県漁協に対し、不当な方法で受け入れられないということと漁業補償金の受け取りを拒否する旨の申し入れ書を提出しました。

 

これが、とても大まかですが今日までの流れです。報道の印象から、祝島の漁民が補償金を受け取ったと思っている方も多いかもしれませんが、誰も受け取っていません。今後については、祝島支店の3分の2以上の同意があれば、補償金の配分ができるということが言われています。

 

しかし、祝島支店の過半数などの同意だけでは決められないということが今回の本題であり、熊本一規さんが漁業法に照らして指摘されているところです。結論から言えば、関係漁民全員の同意が必要であるということです。

 

関係漁民とは、関係地区に住む漁民であり、漁協(この場合、祝島支店)の組合員だけでなく、員外者も含みます。員外者がいない場合において、祝島支店の漁民が対象ということになりますが、この場合でも、過半数や3分の2以上といった総会決議ではなく、全員の同意が必要となります。

 

漁業権を持つのが「漁協」であれば総会決議で決められるということになりますが、漁業を営む権利である漁業権を持つのは「漁民」であり、免許を受けるが漁業を営まない「漁協」にはないということです。

 

ダムや原発をつくるのに都合のいいように「漁協」の権利にすり替えられてきたようです。そして、漁民をあきらめさせて補償金を受け取らせて、同意したことにするのです。これまで県漁協が祝島支店の代わりとして補償金を受け取った後も、祝島支店に受け取りを迫るのは、実際に受け取ってもらわなければ困るのです。今後は、祝島支店の総会決議でもって受け取りを迫ると思いますが、実際に全員が受け取るまでは決まらないということです。

 

一方、海を挟んだ沖縄から、同じような出来事が聞こえてきました。祝島の漁民の有志が県漁協に申し入れを行った3月22日、政府は「米軍基地」移設のための辺野古の埋め立て申請を県に出しました。地元の名護漁協の総会決議(賛成88人、反対2人)で準備は整ったとしました。申請書の提出は、報道陣や反対する市民を避けて騙し討ちのようにして行われました。それは、昨年10月に中国電力が県に行った埋め立て免許の延長申請を思い出させます。

 

「上関原発」も「米軍基地」も問題の構造は似ていると思います。どちらも自民党政権になり、いっそう加速しています。原発や基地をつくりたい人たちが、この大問題を少人数の問題として、その人たちの肩に背負わせ続けています。

 

山口県では、8割近くの県民が「上関原発」に反対しているようですが、山本繁太郎・山口県政は上関原発を上関町(人口約3100人)の選択に任せるとしています。

沖縄県では、より顕著であり、圧倒的多数の県民、そして、沖縄県議会を始め県内の41全市町村長と議会が県内移設に反対しています。それでも、政府はこの声を無視しました。

 

僕は昨年12月、ピースボートのショートクルーズで辺野古を訪れました。辺野古のおばあちゃんの「海は命の恩人」という言葉が忘れられません。戦争で森が焼けた時、海があったから生きてこられたとおっしゃっていました。祝島のお母さんたちの言葉と重なりました。

海は誰のものでしょうか。海は命の源です。

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祝島と福島と海に生きる人たちを追ったドキュメンタリー「祝福(いのり)の海」

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コメント: 4
  • #1

    鍬野 (金曜日, 05 4月 2013 23:52)

    かつて20数年前に水俣病の一人芝居をもって全国を行脚していた故砂田明さんは、「海は命の母」と表現し、日本人の将来を深く案じて、海を水銀で汚したチッソを告発し、全国の人々に水俣病被害者支援を拡げました。
    また原発で働く労働者の足に踏まれた草が、除草剤で草を皆殺しにしていく人間を訴えたり、干潟のムツゴロウも生きられなくなっていく問題とか、人間の心がボロボロになっていくと訴えていました。
    このまま経済経済と言ってお札を刷り増しして、物のあふれる、ゴミのあふれる社会をつくろうとする現政権は、砂田さんが訴えた「命の母」を破壊するものでしかありません。水俣病の経験があるのにさらに危険な放射能で海を汚して行く愚かな歩みを変えさせましょう。

  • #2

    しらいわ (木曜日, 09 5月 2013 00:23)

    砂田明さんの話題がでていたので、つい、お邪魔します。
    私が高校2年生のときに、砂田明さんのひとり芝居を見ました。その衝撃は今でも忘れることができません。
    胎児性水俣病の子どもの守りする爺様が、「この子は、魂の深かか子でなあ。」と語るひとり語り。そして「この子をわしが墓に抱いてつれてゆこうごたる」というセリフ。
    表面だけを取り繕って生きていた女子高生(笑)の私が、人間の根源に触れた瞬間でした。その日から現在の私があります。
    砂田明さんのひとり芝居は、それはそれは、素晴らしかったです。心鷲づかみどころか、魂もってかれたようです。なにもない舞台を、異空間(水俣)にしてしまう力量は、今でも忘れられません。これが芝居か!これが芸術家!と感動しました。長くなってすいません。私の原点です。

  • #3

    杉山. (木曜日, 01 8月 2013 17:55)

    私たち山口県民は、この原発問題どうしたらいいのでしょうか。
    何をしたら、原発を作ることを止めてくれるのでしょうか。
    解決したかと思っても、まったくもって解決しない根深い利権がからんでいます。
    大災害をもたらし永遠に使い物にならない土地を作ったのに、まだ懲りないのでしょうか。愚かさに涙が出てきます。

  • #4

    古谷 (金曜日, 23 8月 2013 18:26)

    東条さん、動画みました。
    埋立免許は、水面権者(漁業権者等)の同意がなければ、出せない。
    (その構成員全員の同意が必要)であれば、
    現時点で、県は免許を出せない!
    のではと思いましたが?どうなんでしょう?
    熊本一規先生に確認できますか。

 

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