祈りのうちに在れるように

年が明けて2014年。

 

昨年を振り返れば、個人的にも世の中的にも大きな変化があったと思います。

個人的には、結婚もして、和歌山の家に住み始め、妻は「虹の花(このはな)食堂」を始めました。

 

祝島へ、福島へ、アメリカへ。映画づくりをご縁に素晴らしい出会いもたくさんありました。皆さん、ありがとうございました。今年もどうぞよろしくお願い致します。

 

新年初の発信は、心に残る昨年末の出来事からお届けしたいと思います。

昨年11月、アメリカ先住民(アメリカインディアン)のデニス・バンクスさんにお会いすることができました。以前よりお会いしたかった方です。

 

この夏、僕はアメリカインディアンの地を訪れましたが、それは、先住民と呼ばれる彼らの考え方や生き方は、この地球の上で平和に暮らすためにも学ぶべき大切なものであり、映画でも取り上げたいと思ったからです。

 

核や原発の原料であるウランの多くがアメリカインディアンや世界の先住民が暮らす大地から掘られています。先住民たちは強制的に追いやられたり、被曝労働をさせられたりしてきました。僕たちが学校で習う、コロンブスがアメリカ大陸を発見した1492年よりずっと前から、そこには自然と共に暮らす人たちがいたのですね。ヨーロッパの人たちが入植してきた以降の歴史はアメリカインディアンにとっては苦難の歴史であり、殺されたり、迫害されたりしてきました。そうした歴史の延長において、数百もの部族を取り込む形でアメリカという国家がつくられ、現在に至っているのです。このような歴史は日本を含め世界の各地であるでしょう

 

60年代、抑圧されてきたアメリカインディアンたちが自分たちの権利を回復するために立ち上がり、部族を越えた大きな運動をつくってきましたが、それを引っ張ってきた「AIM(アメリカインディアン運動)」の共同創始者であり、命をかけて闘ってこられたのがデニス・バンクスさんです。

 

2011年の東日本大震災と福島原発の事故にはデニスさんも心を痛めて、昨年も福島の現地を訪問されました。

デニスさんは、「セイクレッドラン(大地といのちを癒すための祈りのランニング)」を提唱し、仲間と世界各地を走ってこられましたが、チェルノブイリ原発事故後の88年には、核や原発のない未来を求めて日本を縦断するランニングもされています。

 

デニスさんは言います。「世界で初めての原爆はアメリカインディアンの地で実験のために使われました。二番目、三番目が広島と長崎に落とされました。ウランを掘ることは、母なる大地の内臓をえぐるようなものです。」

 

この度、11月末、デニスさんは福島県の南会津と南相馬を訪れました。

サポートをされたのはデニスさんと縁の深い「ランド・アンド・ライフ」辰巳玲子さんや秋山太一さんたちです。(「ホピの予言」という映画をつくられた宮田雪監督の遺志を引き継がれているのが「ランド・アンド・ライフ」です。「ホピの予言」はアメリカインディアンのホピ族の生き方や言い伝えから、核の問題を問い、平和に生きるための道を示してくれている、そう感じる映画でした。)

 

また、デニスさんは全国を回られていましたが、そのサポートをされていたのは7 Generations Walk」の皆さん(代表:山田圓尚さん)です。「七世代先のことを考えて今を生きよ」というアメリカインディアンの教えから名付けられています。アメリカや日本各地を歩きながら、その土地土地の自然や人と交流し、問題も分かち合う中で、7世代先を見据えた世界をつくろうと活動されています。

 

福島県の南会津では、大西琢也さん・真子さんを訪れました。大西琢也さんは「森の遊学舎」という自然学校の代表で、子どもたちの根っこを育む活動をされてきました。震災後は「こめらの森・南会津」を立ち上げて、これまでの活動を活かし、放射線量が低い南会津の地で、子どもたちの保養活動も行われています。「こめら」とは会津の言葉で「子どもたち」という意味です。味噌作りをしたり、山や川に行ったり、雪遊びをしたりと、とても楽しそうです。

 

上の映像は、デニスさんや「こめらの森」の方たちや放射能から避難されている方たちと共に、日の出の祈りを行った時の様子です。火起師でもある大西琢也さんが手で起こした火を囲んで、自分につながる全てのものに祈りを捧げました。

 

原発に象徴される現代のあらゆる問題は、自分を生かしてくれている存在に、祈り、感謝することを忘れてしまったことに起因しているように思います。祈りとは、宇宙の大いなる「意」に「乗る」ことだと聞いたことがあります。混沌とする時代の中でも、祈りのうちに在れるように。世界平和、自分平和。合掌。

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映画づくりを応援して下さる皆様に感謝!

祝島と福島と海に生きる人たちを追ったドキュメンタリー「祝福(いのり)の海」

 

 

 

 

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